グラフィックボード(以下、グラボ)がPC上で認識されないにもかかわらず、モニターには正常に映像が出力されている状況は、多くの場合、ハードウェアの物理的な故障ではなく、ソフトウェアや設定の問題に起因する可能性が高いです。
本記事では、この障害の原因を論理的に分析し、具体的な対処法を段階的に解説します。また、通常の障害発生時の探求要領も併せて説明・情報提供します。
結論:障害発生の主要因と今回の解決策
グラボが認識されない主な原因は、PCがグラボではなく、CPU内蔵の統合グラフィック(iGPU)で画面出力していることにあります。この状態は、グラボのドライバー不具合や、Windows側の設定誤りによって引き起こされます。
今回の解決策は、デバイスマネージャーで誤認識(!エクスクラメーションマーク有り)されたグラボを特定し、そこからドライバーを更新することでした。グラボメーカーの公式サイトからダウンロードした最新のドライバーでは解決しなかったため、この方法が特に重要となります。(理由?知らないね。)
- 障害発生時の原因特定と探求要領
この種の障害が発生した場合、以下のフローチャートに従って原因を特定します。
- 映像出力元の確認
- 症状: グラボが認識されないが、モニターには映っている。
- 推論: PCは正常に動作しており、何らかの映像出力元が存在する。最も可能性が高いのは、マザーボードの出力端子に接続されたiGPUによる出力である。グラボの出力端子に接続されている場合でも、ドライバーの不具合によりiGPUに切り替わっている可能性がある。
- ソフトウェア的要因の調査
- 症状: タスクマネージャーにグラボが表示されない、または不明なデバイスとして認識される。
- 推論: ドライバーの破損、バージョン不整合、またはOS側の設定ミスが考えられる。ハードウェアの物理的故障は、映像が出力されていることから可能性が低い。
- 今回の特殊ケースの調査
- 症状: デバイスマネージャーの「ディスプレイアダプター」にグラボがあるがエクスクラメーションマークがある。
- 探求: デバイスマネージャーの全項目を詳細に確認する。特に、「プロジェクター」 や 「その他のデバイス」 など、通常では関連性の薄い項目に、グラボが誤って認識されていないかを確認する。
- 一般的な対処法(論理的な順序)
以下に、障害を解決するための一般的な対処法を、原因の可能性が高い順に提示します。
- PCの再起動
- 理由: 一時的なシステムエラーやメモリ上のキャッシュが原因である場合、再起動によって問題が解消されることが多いため。これは、あらゆるトラブルシューティングの基本中の基本です。
- 手順:
- Windowsのスタートメニューから「再起動」を選択します。
- 物理的な接続の確認
- 理由: まれにグラボの接触不良が原因で、一時的にiGPUに切り替わることがあるため。
- 手順:
- PCの電源を切り、コンセントを抜きます。
- PCケースを開け、グラボがマザーボードのスロットにしっかり刺さっているか確認します。必要であれば、一度抜き差ししてみてください。
- グラボに接続されている電源ケーブルがしっかり刺さっているか確認します。
- ドライバーの再インストール(DDUの使用推奨)
- 理由: ドライバーの破損や設定の不整合が最も多い原因であるため。
- 手順:
- DDU (Display Driver Uninstaller) というツールを使用し、既存のグラボドライバーをセーフモードで完全に削除します。
- PCを再起動し、グラボメーカー(NVIDIA/AMD)の公式サイトから最新のドライバーをダウンロードしてインストールします。
- この際、「クリーンインストール」 オプションを選択し、既存の設定を完全に上書きします。
- UEFI/BIOS設定の確認
- 理由: iGPUとグラボの出力設定が競合している可能性があるため。
- 手順:
- PCを再起動し、UEFI/BIOS設定画面に入ります。
- グラフィック設定項目(”Graphics Configuration”や”Primary Display”など)を探し、出力デバイスが「PCIe」 または 「Discrete Graphics」 に設定されていることを確認します。
- 設定が「Auto」になっている場合は、明示的にグラボを指定します。
- 今回の解決方法:特殊な誤認識への対処
前述の一般的な対処法、特にグラボメーカーの公式サイトからのドライバー更新でも解決しなかった場合、今回のケースに該当する可能性があります。
- 発見: デバイスマネージャーを開き、通常は「ディスプレイアダプター」に表示されるはずのグラボが、「プロジェクター」 の項目に表示されていることを発見。
- 原因: Windows OSが、何らかの理由でグラボを外部出力デバイス(プロジェクター)として誤認識したため。これは、複数のモニターを接続した際や、OSのアップデートが原因で発生することがあります。
- 手順:
- デバイスマネージャーを開きます。
- 「プロジェクター」の項目を展開し、該当のグラボを特定します。
- グラボを右クリックし、「ドライバーの更新」を選択します。
- 「ドライバーを自動的に検索」 を実行します。この際、公式サイトのドライバーではなく、Windowsが提供するドライバーが適用される場合があります。
- ドライバーが更新された後、PCを再起動します。
これにより、グラボが正しいデバイスカテゴリ(ディスプレイアダプター)に再配置され、正常に機能するようになります。AMDアプリケーションも使用可能になったのは、ドライバーが正しく認識された結果です。
- 通常の障害発生時の対処と探求要領
ハードウェア障害全般に共通する探求要領は、「原因の切り分け」 です。
- 問題の再現性確認
- 探求: 特定のアプリケーションでのみ発生するのか、それともPC全体で発生するのか。
- 理由: 特定のアプリケーションでのみ発生する場合はソフトウェア側の問題、全体で発生する場合はOSやハードウェアの問題と切り分けられる。
- 変更点の特定
- 探求: 障害発生直前に、PCに何らかの変更を加えたか(新しいソフトウェアのインストール、ハードウェアの追加、OSのアップデートなど)。
- 理由: 変更点が原因である可能性が非常に高いため。変更を元に戻すことで問題が解決する場合が多い。
- 最小構成での確認
- 探求: 必要最低限のハードウェア(CPU、メモリ1枚、グラボ、電源)のみで起動してみる。
- 理由: 障害がPCの他のコンポーネント(追加のメモリ、ストレージ、拡張カードなど)に起因していないかを確認するため。
- 別の環境での確認
- 探求: 別のPCにグラボを接続して正常に動作するか確認する。
- 理由: グラボ自体の故障か、マザーボードや電源など他のコンポーネントの問題かを物理的に切り分ける最も確実な方法。
これらの手順を踏むことで、障害の原因を体系的に特定し、効率的に解決へと導くことができます。
これは、僕の対処が誤っていた可能性もあります。備忘録として書き留めますので、あくまでも参考程度にしてくださいね!